ミュージカル 『テンテン天まで飛んでいけ!』

  貫井囃子を題材にしたミュージカルが、三鷹市在住の如月小春(故人)の脚本で劇団わらび座より、全国各地で公演されました。
  本作品は平成14年度文化庁地域文化功労者賞を受賞した、先代大澤敏夫会長と、その孫の大澤満里子(現会長長女・当時10歳)をモデルとした物語です。芸能に関わる子どもたちが成長していく内容で、江戸時代から伝わる民俗芸能の素晴らしさを伝えてくれるものでした。

  第31回「小金井なかよし市民まつり」市制施行45周年記念イベント(平成15年10月19日/主催:市制施行45周年記念イベント実行委員会)では、貫井囃子保存会も出演し創作ミュージカルと本物のお囃子の両方が楽しめる公演となりました。



『子どもも大人も元気になれるお芝居を』 如月 小春

 東京は小金井に、貫井囃子というお囃子がある。古くから伝わっていたものが一度廃れてしまい、それを地元に住む大澤さんという方が、年月をかけて掘りおこし、地域の子ども達と共に育てあげ、今に到っている。
 その貫井囃子を稽古場に見学に行った。驚いた。なんとも音がいいのだ。力強くて、メリハリがきいていて、小気味がいい。思わず踊り出したくなるようなのだ。
 そのお囃しを奏でているのが、中学生や高校生、そして踊り手には小学生や幼稚園に通う子どもも数多くいると知って更に驚いた。その腕前もさることながら、明るさと積極性にありふれた子どもたちの表情に感激した。
 子どもたちからそういう表情を引き出したのは、他ならぬ師匠の大澤さんである。頑固であったかい大澤のおじいちゃんと、やりたいことは精一杯やって、実にいい表情をしている子どもたちを見た時、私は、この人たちのことを芝居にしたいと、強く思った。芝居して、元気をなくしかけている子どもたち、そんな子どもたちとどう向き合っていけばよいのか途方に暮れている大人たちに、是非見てもらいたいと思った。そしてこの劇を見たあとで、ちょっと元気になったと感じてもらえたら、作者としてこれほど嬉しいことはない。


【如月 小春 プロフィール】
 1956年、東京都出身。東京女子大学卒業。劇団「NOISE」代表として、演劇の作・演出を手がける一方、「世田谷美術館」「神奈川県立青少年センター」「兵庫県立こどもの館」「世田谷パブリックシアター」等を始め、各地での演劇ワークショップにも積極的に取り組む。1994年「O夫人児童演劇賞」1998年「演劇教育賞・特別賞」受賞。2000年12月逝去。
◆主な作品
  「MORAL」「A・R−芥川龍之介素猫−」「月夜のサンタマリア」「ホモイの涙」他。
◆主な著書
  「如月小春戯曲集」「利民族の芝居小屋」「八月のこどもたち」等。

※第31回「小金井なかよし市民まつり」市制施行45周年記念イベントパンフレットより